スマホが「我慢する力」に影響する理由
― 最近、忍耐力が落ちたと感じるあなたへ ―
「以前より我慢がきかなくなった気がする」
「集中が続かない」
「ちょっとしたことで疲れてしまう」
整体院で日々お話を伺っていると、
こうした声を聞く機会が確実に増えています。
肩こりや腰痛をきっかけに来院されても、
生活リズムや睡眠、心の余裕の話に及ぶことは少なくありません。
そして多くの方に共通しているのが、
スマートフォンの使用時間が非常に長いという点です。
ここで大切なのは、
「スマホが悪い」「使う人が悪い」という話ではないということ。
これは脳と身体の仕組みの話です。
我慢や自制心を支える「前頭前野」
人が
-
感情を抑える
-
衝動をコントロールする
-
先のことを考えて行動する
こうした判断ができるのは、
前頭前野という脳の部位が働いているからです。
前頭前野は、いわば
「今すぐ」よりも「あとで」を選べる力を支えています。
ただしこの前頭前野、
使われなければ働きが弱くなるという特徴があります。
スマホの使い過ぎで前頭前野を使わなくなる理由
スマホ、とくに
SNSやショート動画、通知中心の使い方は、
-
考えなくても情報が流れてくる
-
待たなくていい
-
判断しなくていい
という性質があります。
その結果、
前頭前野を使う場面が減り、
「反射的に反応する」回路ばかりが働くようになります。
すると、
-
以前より我慢がつらい
-
少しの不快でやめたくなる
-
集中が続きにくい
といった変化が起こりやすくなります。
これは性格の問題ではありません。
脳の使い方が変わっただけなのです。
報酬系とドーパミンの影響
スマホは、
小さな「楽しい」「気になる」を
短い間隔で与えてくれます。
このとき脳内では、
ドーパミンという物質が分泌されます。
ドーパミンは、
やる気や意欲に関わる大切な物質ですが、
刺激が多すぎると、
-
地味な作業がつらく感じる
-
待つことが苦手になる
-
すぐ結果を求めてしまう
といった影響が出やすくなります。
「頑張れなくなった」のではなく、
脳が“即時刺激”に慣れてしまった状態です。
自分を責めなくていい理由
ここで、はっきりお伝えしたいことがあります。
我慢がきかなくなったと感じても、
それは意志の弱さではありません。
現代の環境に、
脳が一生懸命適応した結果です。
そして、この状態が続くと、
次に起こりやすいのが
**「朝起きづらくなる」**という変化です。
(後編へ続く)
朝起きられないのは「脳と自律神経のリズム」の問題
― 夜型に傾いた身体を整えるために ―
「夜は眠いのに、ついスマホを見てしまう」
「寝たはずなのに、朝がつらい」
「起きても頭と身体が動かない」
こうした状態も、
決して珍しいものではありません。
睡眠と覚醒を調整する「視床下部」
私たちの睡眠と覚醒は、
視床下部という脳の中枢で調整されています。
視床下部は、
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体内時計
-
ホルモン分泌
-
自律神経
-
体温
をまとめて管理しています。
夜遅くまでスマホを見ることで、
このリズムが少しずつ後ろにずれていきます。
すると、
-
眠りが浅くなる
-
しっかり休んだ感覚がない
-
朝の切り替えが難しくなる
といった状態が起こりやすくなります。
朝のだるさは「使いすぎ」のサイン
夜に強い刺激を受け続けると、
朝はエネルギーが出にくくなります。
-
やる気が出ない
-
起きる理由が見つからない
-
しばらく動けない
これは、
身体や脳が「休みきれていない」サインでもあります。
起きるためには「判断力」も必要
朝起きるという行動には、
-
予定を思い出す
-
今日をイメージする
-
動くと決める
といった判断が必要です。
これも前頭前野の役割です。
前頭前野が疲れていると、
布団の心地よさに負けやすくなります。
これは怠けではなく、
判断を支える力が落ちている状態です。
自律神経の切り替えが遅れているだけ
本来、朝は交感神経が働き、
身体は自然と活動モードに入ります。
しかし生活リズムが乱れると、
夜の状態を引きずりやすくなります。
整体の現場では、
-
呼吸が浅い
-
背骨が動きにくい
-
内臓の動きが鈍い
といった方が多く見られます。
少しずつ整えれば大丈夫
大切なのは、
一気に変えようとしないことです。
夜
-
寝る前は刺激を減らす
-
照明を少し落とす
-
スマホを見る時間を短くする
朝
-
光を浴びる
-
水を飲む
-
身体をゆっくり動かす
身体から整えることで、脳は自然についてきます。
おわりに
我慢できない。
朝起きづらい。
それは、
あなたが弱いからではありません。
少し環境が合わなくなっているだけです。
身体は、整えれば必ず応えてくれます。
静かな夜を取り戻せば、
朝はゆっくり戻ってきます。
焦らず、
できるところからで大丈夫。
あなたの身体は、
ちゃんと回復する力を持っています。
スマホは便利で現代社会では不可欠な「インフラ」になっています。あまり頼りすぎて身体に害を及ぼすような使い過ぎには十分注意し、賢く使いこなしましょう。







