腰痛にヨガは有効か
「先生私ヨガやってるのに腰が痛くなったんです」「ヨガを始めたら腰痛が治っちゃた」当院の患者様から時々聞くお言葉です。どちらも当たっていると言えるし、外れているともいえます。どういう事でしょう?
ヨガにはトレーニングとしての面、瞑想としての面がある
ヨガは美容、健康増進に効果が高いとされ若い女性を中心に大変な人気があります。またハリウッドセレブが積極的に取り入れたパワーヨガなど、アメリカ経由で日本に輸入され広まったフィジカルも強化するトレーニングの面が強調されたメソッドも数多く存在します。 またメンタルのケアやコントロールに瞑想を取り入れる企業も数多くグーグルやツイッター、フェイスブックなどは社を挙げて導入しています。効率的な面を良しとする米国企業が取り入れるのを見てもヨガがいかにメンタルケアに有用なのか伺えます。 今後日本国内でもヨガを作業効率の向上や福利厚生として積極的に採用していく企業が増えていくのではないでしょうか。
ヨガは軽度の腰痛に有効な場合がある
冒頭で「ヨガを始めたら腰痛が治っちゃった」という場合を例にとれば、それまで運動には無縁、または学生時代から遠ざかっている中高年女性に多くみられ、腰痛の程度も「疲れが溜まると腰が張る」「草むしりして屈んで腰が痛くなった」など腰痛の症状も軽度な場合が殆どです。 そういった方がヨガを始め、今まで動かさなかった身体を動かし伸ばす事で血行が良くなり柔軟性も向上し痛みが軽減することがあります。またそれまで意識しなかった姿勢に気を向けることで不良姿勢をとらなくなり増々痛みから遠ざかることになります。
ヨガのポーズで関節に負担を掛けることも
軽度の腰痛に有効ならば病院で治療や手術を必要とするような椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などに有効でしょうか? 運動不足から起こる筋筋膜性腰痛、筋緊張性腰痛に有効な面はあります。しかしヨガのポーズには股関節を大きく開く、背中を反らす、片足で立つなど関節、椎間板に負担を掛けるポーズが数多く存在し椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、仙腸関節痛、変形性股関節症などには不向き、高い確率で症状を悪化させます。 それを裏付けるようにヨガのインストラクターの患者様は現在まで多く来院されています。
元来ヨガは「腰痛改善」のためのものではない
ヨガを始めて腰痛が良くなった、というのは程度により事実でありますが、むしろ関節を痛め腰痛を悪化させる場合が多いというのが実際のところです。 当然ヨガは「腰痛」の為に始まったものではないのですが、健康、美容という面、また一部の「腰痛が治った」というレアケースが耳に入ることで「ヨガ=腰痛に良い」というイメージになったのでしょう。
腰痛の回復、施術効果の向上に3つのメリット
しかし症状の重度な椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、仙腸関節痛、変形性股関節症などにヨガは無意味でしょうか?関節に負担を掛けてしまうポーズは症状を悪化させる側面はありますが、瞑想によるストレスの軽減、自律神経の調整作用は痛みの軽減や施術をより効果的にします。また思考が前向きになるので自らストレスを生んでしまう事も少なくなります。 1 ストレスの軽減により筋肉の緊張が軽減 2 自律神経の正常化で安定した睡眠、回復の向上 3 前向きな思考は悪化の原因になるストレスの発生を少なくする など瞑想のメリットは無視できません。
瞑想による健康効果は絶大
腰痛の改善の他、瞑想には身体に様々なメリットがあります。 ・免疫力を高め病気を予防する。 ・集中力、記憶力、学力が向上する。 ・創造性ある思考になる。 ・ストレスを軽減する。 ・幸福度を高める。 など健康面や日常生活を送るうえで多大な効果があり、ストレスの軽減、幸福度の充実は腰痛に対する施術効果を高めます。 ヨガと聞いて身体を鍛える面ばかりに注目するのではなく、メンタルケアを通じて腰痛に良い影響を与える事を理解しておけばより効果的に腰痛改善ができるでしょう。