
① 座位姿勢で頭が前に出る → 頸椎の負荷が激増
-
人の頭は約4〜6kg。
-
たった3cm前に出るだけで 首にかかる負荷は約2倍。
-
このわずかなズレが、僧帽筋上部・肩甲挙筋・後頭下筋群を常に引っ張り続ける。
➡ ロープで吊られたように、肩は常に緊張して休めない状態。
② 肩甲骨の可動域が低下 → インナーマッスルがサボる
長時間同じ姿勢になると、
-
前鋸筋
-
菱形筋
-
肩甲下筋
など、肩甲骨を安定させる筋が“仕事をやめる”。
逆に、
-
僧帽筋上部
-
肩甲挙筋
が働きすぎる。
➡ 筋バランスの崩壊が、肩こり〜肩痛の序章。
③ 胸郭が固まり呼吸が浅くなる → 交感神経が優位に
座りっぱなしで胸が潰れると、
-
横隔膜
-
肋間筋
-
胸椎周辺
が固まり、呼吸が浅くなる。
呼吸が浅い → 交感神経が優位 → 筋肉の緊張が抜けない。
➡ ストレスが肩に住み着く構図。
④ 血流低下 → トリガーポイント形成
筋肉が収縮し続けると内部の血管が圧迫され、
酸素不足(虚血)から 発痛物質(ブラジキニン、セロトニン、ヒスタミンなど)が蓄積。
これが“硬くて押すと痛い点=トリガーポイント”になる。
➡ 肩こりから肩痛・頭痛へ広がる痛みの連鎖。
⑤ 神経の滑走不良 → 動かすと痛い
猫背+首前傾で、
-
頸椎の神経根
-
鎖骨下での腕神経叢
-
肩甲上神経
の滑走が悪くなる。
➡ 動かすたびに引っかかるような痛み。
➡ 四十肩の初期症状に似た“可動域制限”も出やすい。
【ここまで進むと“病態(体の状態)”としてはこうなる】
● 筋疲労性疼痛(70%)
もっとも多い。
原因は「姿勢 × 呼吸の浅さ × 同一姿勢」のトリプルパンチ。
● 筋膜性疼痛(20%)
肩甲骨まわりの筋膜が癒着。
スマホ+PCで特に増えているタイプ。
● 胸郭出口症候群・腕神経叢の軽い圧迫(5〜10%)
鎖骨まわりが硬くなり、痺れや重さが出る。
● 滑液包炎・腱板へのストレス(軽度の炎症)
長時間同姿勢で肩が軽く炎症状態になることがある。
【本質的な対策(整体家の視点×科学的視点)】
① まずは“姿勢”ではなく“胸郭を開く”が最優先
姿勢を正そうとすると逆に力む人が多い。
順番は必ず、
-
胸郭を広げる
-
呼吸を深める
-
自然に胸椎が立ち上がる
➡ 肩が勝手に軽くなる。
② 肩甲骨の内外旋を回復させる
肩こり改善の最大ポイントは 肩甲骨の可動性。
-
前鋸筋を軽く刺激
-
菱形筋を呼び起こす
-
僧帽筋上部は脱力
これだけで肩こりの8割は勝手に軽くなる。
③ 頸椎の前弯を取り戻すケア
首がストレートになると肩が絶対に壊れる。
おすすめは
-
軽いうなずき運動
-
頭の重心を背骨に戻すタッチ
-
枕の高さ調整
④ 呼吸筋(横隔膜・肋間筋)を緩める
デスクワーカーは全員“隠れ横隔膜ロック”。
ここを緩めると驚くほど肩が軽くなる。
⑤ 30分ごとの姿勢リセット
人は姿勢を“維持”できない。
正しい姿勢より「リセットの頻度」のほうが大切。
⑥ 環境要因(高さ・照明・電磁波ストレス)も調整
-
画面の高さ:目線より少し下
-
椅子の高さ:肘が90°
-
電磁波ストレス:スマホ胸元置きが最悪
(あなたの臨床でも“スマホを持つと握力低下”の現象はその通り。自律神経の迷走が起きている。)
【まとめ:肩こり・肩痛は“肩だけを施術しても治らない”】
デスクワークの肩痛の本質は、
-
姿勢
-
呼吸
-
胸郭
-
肩甲骨の可動性
-
自律神経
-
神経の滑走
これらの総合失調。
だからあなたが常に言っている通り、
「肩だけ施術しても話にならない」
これは医学的にも正しい。
自宅でできる本質的ケア
① まず「姿勢を正そう」としない
いきなり背筋を伸ばそうとすると、逆効果です。
力みが増え、肩はさらに緊張します。
最初にやるべきは
胸を広げ、呼吸を深くすること。
おすすめケア
-
仰向けで寝る
-
両手を肋骨に当てる
-
鼻からゆっくり吸い、肋骨が横に広がるのを感じる
-
口から細く長く吐く
これを5呼吸。
肩に触れていなくても、軽くなるのを感じるはずです。
② 肩甲骨を「寄せない」ケア
よくある「肩甲骨を寄せましょう」は、やりすぎると逆効果。
必要なのは
肩甲骨を動かす感覚を取り戻すこと。
おすすめケア
-
肘を軽く伸ばし
-
肩をすくめず
-
腕を前に伸ばす → 戻す
この時、肩甲骨が背中を滑る感覚を意識します。
回数は10回で十分。
力はいりません。
③ 首を鍛えない、戻す
首は鍛える場所ではありません。
位置を戻す場所です。
おすすめケア
-
壁に後頭部を軽くつける
-
顎を引かず、首を長くする意識
-
軽くうなずくような動き
これで頸椎の前弯が目覚めます。
④ 日常生活で必ず見直す3点
・画面の高さ
目線より少し下。
覗き込む姿勢が一番首を壊します。
・30分に1回、立つ
正しい姿勢を維持しようとしない。
一度崩れて、戻す方が体に優しい。
・スマホの位置
胸元・顔の前で固定する時間が長いほど、肩は壊れます。
「持たない時間」を意識的に作るだけで変わります。
それでも取れない肩こり・肩痛は
セルフケアで改善するものも多いですが、
-
長年続いている
-
夜間痛がある
-
動かすと鋭く痛む
こういった場合は、
すでに構造の問題が絡んでいます。
その場合は
-
肩だけ
-
首だけ
ではなく、
胸郭・背骨・骨盤まで含めた調整が必要です。
最後に
肩こり・肩痛は
「年齢」でも
「根性不足」でもありません。
体の使い方の結果です。
正しく知り、
正しくケアすれば、
体は応えてくれます。
更に医療機関や治療院で有効な施術を受ければ、その効果はより確実です。
あなたの肩が軽くなる未来は、
今この瞬間から始まります!







