転倒により起こる「大腿骨頭頚部骨折」「圧迫骨折」
1月22日、関東でも記録的な大雪がありました。
1週間以上経ちますが未だに道路や歩道の脇には、よけられて雪が固まっている所がそこかしこに見られます。
こんな状態怖いのは、凍結した路面での転倒です。
特に注意したいのが股関節の付け根で起こる「大腿骨頭頚部骨折」腰椎や胸椎で起こる「圧迫骨折」です。
構造的に大きな負担を受ける大腿骨頭頚部
大腿骨頭とは、太腿の長く太い大腿骨が、股関節とをつなぐ斜めに伸びくびれた部分です。
この大腿骨頭の斜めの角度を頚体格(けいたいかく)といい、正常な場合、赤ちゃんで150°、成人で120~130°と言われます。
動きが大きく、重い体重や歩行のショックを受け支える部分が、斜めに伸び、くびれているので大きな負担を受けているのです。
大腿骨頭頚部骨折が怖いのは、治りにくいところ
大腿骨頭頚部骨折が怖いのは、他の部位の骨折に比べ、治りにくいところです。
通常、関節は関節包という袋状の組織に包まれています。そして骨の表面には外骨膜という膜があり、骨折の治癒で大きな働きをします。
しかし大腿骨頭頚部にはこの外骨膜が無く、治癒、癒合しにくいという特徴があります。
また大腿骨頭頚部周辺は回旋動脈という血管があり、そこから栄養や酸素が供給されていいますが、回旋動脈が傷ついたりすることで血流が阻害され、結果的に骨が壊死する事もあります。
大腿骨頭頚部骨折は結果的に命を奪う事も
大腿骨頭頚部骨折を起こした場合、予後1年の生存率は日本人で10パーセント前後、海外では10~30パーセントと言われています。寝たきりになる事で心肺系、脈管系のトラブルにより
死亡するケースが多いようです。また半年から1年後に、歩行が出来るようになる方も50パーセント程度です。
寝たきりや、筋力低下などで、生きる希望を失ってしまう事も、なにより治癒を難しくする原因の一つでしょう。
慢性腰痛の原因、腰椎、胸椎の圧迫骨折
圧迫骨折は骨粗しょう症などで、骨密度が低下した高齢者に多い骨折です。
大腿骨頭頚部骨折は、強い衝撃を受け、骨密度の高い若年層にも起こりうる骨折ですが、圧迫骨折は軽い衝撃でも安易に起こってしまう事があります。
また転倒以外でも知らない間に、背骨が徐々に潰れ、レントゲンを撮って骨折が発覚する場合もあります。
転倒してから痛みが引かない、背中が丸くなった、それは圧迫骨折かも
大腿骨頭頚部骨折に比べ、痛みを感じにくいのも圧迫j骨折の特長です。
痛いは痛いが、歩けないこともない。でも転倒してその痛みがなかなか引かない、背中が丸く猫背気味になったら、圧迫骨折を疑った方がよいかもしれません。
大腿骨頭頚部骨折、圧迫骨折の予防策は有るか
滑りやすい場所での転倒というシチュエーションを作らない。転ぶような場所に行かないのが一番の予防です。
滑らない靴や、クッション性のある服装も無いよりは良いでしょう。
他には普段から歩行や適度な運動をして、骨密度を保っておく、というのも大事です。
また、転倒に対応できるような体つくり、とっさにつかまったり手をついて衝撃を和らげる練習をしておく。
関節各部の動きを良くしておく、歪みや傾きを極力減らしてバランスの良い姿勢、動作も予防に一役買ってくれます。
雪国の人には笑われそうですが、なるべく積雪しないことを祈るばかりです(笑)